算数の授業がうまく届かなかった日に。Geminiで"次の1時間の作戦"を立てる
算数の授業が、うまく届かない日がある
算数の授業で、1時間やってみたのに、まるで手応えがない日があります。
説明した。
板書もした。
ペアで話す時間も取った。
練習問題もやった。
でも、ノートを見ると、全然つながっていない。 子どもの表情も、重い。
こちらも、「今日の授業、届いていないかもしれない」と思う。
そういう日が、あります。
授業中にAIを使う余裕は、いつもあるわけではない
AI活用というと、授業中に子どもが使う場面を想像しがちです。
でも、授業中は忙しいです。
子どもを見る。
机間指導をする。
ノートを見る。
声をかける。
全体を戻す。
その中で、先生がAIを開いて、ゆっくり考える余裕は、いつもあるわけではありません。
だから今回は、授業後に使う話です。
授業中に子どもが使うAIではなく、授業後に先生が使うAIです。
なお、この記事は「教育向けAIを学校現場に翻訳するシリーズ」の2本目です。
1本目では、Geminiのガイド付き学習が、すぐに答えを教えず、子どもが考える道筋を支える様子を紹介しました。
今回はその続きです。 教育向けAIの価値は、正解を教えることではなく、つまずきをほどくことにある。 そんな話を、先生目線で書きます。
授業後に、誤答や反応をGeminiに入れてみる
目的は、正しい解き方を教えてもらうことではありません。
子どものつまずきを整理し、次の時間の作戦を立てることです。
実際に入れたプロンプトが、これです。
小学校5年生の算数「割合」の授業後です。
今日の授業では、20%引きの代金を求める問題を扱いました。
問題:
定価800円の本が、20%引きで売られています。
代金はいくらですか。
子どもたちの誤答や反応として、次のようなものがありました。
・800÷20=40、答えは40円
・800×20=16000、答えは16000円
・800×0.2=160、答えは160円
・20%引きなのに、800円より高くなる答えを書いている
・式は書けるが、何を求めているのか説明できない
・「20%引き」と「20%の金額」の違いがあいまい
この授業で、子どもたちがどこでつまずいている可能性があるかを整理してください。
次の時間に立て直すために、次の観点で表にしてください。
・つまずきの種類
・子どもの反応から分かること
・まだ分かっていなさそうなこと
・次の時間の最初に確認したいこと
・全体で扱うとよい問い
・短い練習問題
・個別に支援した方がよい子の見取りポイント
答えを直接教えるためではなく、
次の1時間の授業を立て直すための作戦として整理してください。
小学校5年生に合う言葉で説明できるようにしてください。
実際にGeminiに入れてみると、まず子どもの反応から、つまずきの種類を整理してくれました。
誤答や反応から、つまずきの種類を整理してくれた。
さらに、次の時間に確認したいことや、短い練習問題、個別支援の見取りポイントまで出してくれました。
次の時間に確認したいことや、短い練習問題まで整理されている。
出てきたのは”立て直し作戦シート”だった
Geminiは、子どもの反応をもとに、つまずきを種類分けしていました。
割合の表し方のつまずき。 計算の意味のつまずき。 「〜%引き」のイメージのつまずき。
こんなふうに、ばらばらの誤答を、いくつかのかたまりに整理してくれます。
さらに、その先まで出してくれました。
次の時間の最初に確認したいこと。 全体で扱うとよい問い。 短い練習問題。 個別支援の見取りポイント。
ここで伝えたいことがあります。
AIが、正解を教えているのではありません。
先生が、次の時間を考えるための材料を出している。
そういう役割です。
次の時間は、もう一度同じ説明をしない
ここが、この記事のポイントです。
授業が届かなかったとき、先生はもう一度同じ説明をしたくなります。
でも、同じ説明をもう一度しても、また届かないことがあります。
必要なのは、戻る場所を変えることです。
たとえば今回なら、こんなところです。
「20%とは何か」。
「20%引きは、20%分を引くこと」。
「800×0.2で出た160円は、払う金額ではなく、引かれる金額」。
「残りは80%」。
「答えが800円より高くなるのは、あり得るか」。
出力の後半では、次の時間の導入や授業の流れまで提案してくれました。
次の時間の導入として、買い物の場面に戻す提案が出てきた。
たとえば、「お買い物シミュレーション」で感覚を取り戻す。 関係図や数直線を、みんなで1から描く。 そんな流れです。
さらに、代金を求める2つのルートを比べる流れも提案されました。
引き算あと出しルートと、割合さき引きルートを比べる流れも提案された。
作戦Aは、引かれる分を先に出す。 800×0.2=160円。 そのあと、800−160=640円。
作戦Bは、払う割合を先に考える。 100%−20%=80%。 0.8を使って、800×0.8=640円。
この2つを並べて比べると、子どもの中の「引く」と「残る」がつながりやすくなります。
Geminiの出力は、そのまま使うより”選んで整える”
ここも、大事なところです。
Geminiが出したものを、そのまま次の授業に使う必要はありません。
むしろ、そのまま使わない方がいいです。
先生が選ぶ。 削る。 学級の実態に合わせる。 言葉を、子どもに合うように直す。 実際の授業時間に入るように、絞る。
AIの出力は、完成した授業案ではありません。
先生が次の一手を考えるための、材料です。
まとめ
算数の授業がうまく届かない日は、あります。
授業中にAIを使う余裕はなくても、授業後なら使えます。
誤答や反応を入れると、つまずきの種類が整理できます。
次の時間に確認することや問い、短い練習問題も、考えやすくなります。
同じ説明をもう一度するのではなく、戻る場所を変える。
Geminiは、授業を代わりにするのではなく、授業後の作戦会議の相手になります。
授業がうまく届かなかった日は、先生にとってしんどいです。
でも、その日の失敗は、次の1時間を作り直す材料にもなります。
子どもの誤答や反応を見ながら、どこで止まっているのかを整理する。 次の時間、どこに戻るのかを考える。
Geminiは、その作戦会議の相手として使えます。
AIに授業を任せるのではありません。
次の1時間を、先生がもう一度組み立てるために使う。 この使い方は、かなり現実的だと思います。
学校現場で使える生成AI活用を、これからも具体的に発信しています。
AIを使うことそのものより、
「子どもが何を学ぶのか」
「先生がどう見取るのか」
「人間がどこで考えるのか」
を大切にしています。
Geminiや教育向けAIの使いどころも、現場の言葉で少しずつ整理していきます。
私は現役の小学校教員をしながら、AI活用について発信しています。同じような立場の方や、AIを仕事・学びに活かしたい方に届けばうれしいです。
記事を読む時間がない人は、ながら聴きできるSpotifyでお楽しみください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!






